あこがれの味、おもいでの味
幼いころに読んだ絵本に登場したグルメというのは、妙にこころに残るものです。
印象的であたたかくて、ひととひとを繋ぐ、物語のなかで重要な存在にもなります。
休日にふと思い立って、そんな絵本グルメを再現しました。
とある絵本に登場する、おおきなフライパンでつくるカステラです。
物語のなかでは、動物たちが森でおおきな卵をみつけ、おおきなボウルやフライパンを使いにぎやかにカステラをつくります。できたてでふかふかの黄色いカステラをみんなで輪になって食べるシーンはとてもあたたかく、まあるいカステラは子供にとってなによりあこがれのスイーツになりました。
卵とミルクと砂糖とバター。やさしくてあたたかい味がしました。
おとなになって、この「あこがれ」を食したことで、このカステラは「あこがれ」ではなくなってしまいました。
でも、おとなになって、ようやくこの絵本の一部になれた気がします。